2011年11月8日火曜日

オーデュボンの祈り

オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎 新潮文庫

を読んだ。
「人の砂漠」を読んでいたペースと比較するとだいぶ早いペースで読み終えた訳だけど、特にハマった訳でもなく翌日が休みということで夜遅くまで読んでしまった感じ。

以前、今時の人気作家の作品を読んでみようということで同作家の「死神の精度」を読んだ。音楽好きの死神がレコードショップで音楽を視聴しているシーンは何回も出てくるのだけど、そのシーンのうちのひとつが、どうも自分には仙台の一番町にあった変てこなビルの3階にあったタワーレコードを想像させるものだった。今はもうその店舗はないのではないかと思うけど、自分の記憶が確かなら1階がスーパー、2階が主に女性服系のアパレルテナントが入っており、3階がタワーレコードだった。もしかしたら1階もアパレル系だったかな。15年以上も前の記憶なので曖昧。けれどそのシーンで仙台のイメージが甦ったのは、どこか自分を嬉しくさせた記憶がある。変てこなビルというのは、エスカレーターの位置が何となく変だったし、中に入っていたテナントのターゲットジェネレーションが自分のイメージとしては物凄くバラバラだったし、そして何より古さを感じさせるビルだった。

そして「死神の精度」を読み終えてからしばらく後で、「あー、当たらずとも、きっと遠からず」と思った。伊坂さんは自分と4歳違いの1971年生まれ。東北大学法学部卒業、現在も仙台在住。20歳前後に見た仙台の街中の風景は同じようなものだったはずだから。もちろん、伊坂さんがどこのお店をイメージして死神に音楽を聴かせていたかは知らないけれど。

「オーデュボンの祈り」本作を読んでみようと思ったのは、伊坂さんの「処女作」を読んでみようと思ったから。数々設定されていく謎を、後々解いていく展開。読み進めるうちにできる胸のつかえを、読み終える頃には解消してくれる感じかな。「仙台」「牡鹿半島」等、自分の記憶を刺激する「シンボル」は何度も登場するものの、描写から風景や景色を想像させるようなシーンがなかったのは残念。ひどい言い方かもしれないけど、舞台設定上「仙台」が「名古屋」「札幌」「博多」等の地方中枢都市であれば、どれも大差がない気がする。ま、「仙台」の風景や景色と言っても、「仙台」のそれの中に何か強烈な特徴がある訳ではないけれど。もしかしたら、強烈な特徴が隠れやすいのが仙台の特徴かもしれない。

単純な感想として、もちろん駄作を読んだとは思わないけれど、満足感も少なかった。

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